工芸研究所のオフィスにひとり物静かな女子がいます。いつも淡々と作業をしている彼女、なんか気になります。
牛久綾さん。私が今まで見たことのある人の中でもっとも美しい肌をしています。まるで白雪姫みたい。
ちょっと笑わせてみました。いつもはすましている。 |
彼女は自由学園を卒業してここに勤めて10年目。担当は玩具。これまで私が取材してきたぬいぐるみの制作者さんと素材メーカーの間に立って、生産の管理などをしています。
今日はタヌキのぬいぐるみのタグ付けをしたり、豆の人形を鞘に収めていました。たぬきや豆やトラやヒツジ・・・ここで扱っているロングセラーのぬいぐるみは数え切れないほどあります。
こうしたぬいぐるみはどれも手作りで、その全種類の素材をそろえるという仕事は、想像していたよりずっと大変なことのようです。
「ぬいぐるみはパーツが小さくて種類が多いので、大量の素材が必要です。たとえばフエルトだけでも何十種類もいるし、その分だけ同色の糸も必要だし」
ここでぬいぐるみを作っているスタッフは約20名弱。そのほか内職さんもいます。その人たちはみな得意不得意の専門分野があり、このぬいぐるみならだれだれ、これはだれだれ、と担当が決まっています。ミシンが得意な人、手縫いが得意な人、細かいのが得意な人などなど、それを振り分けて材料をわたし、滞りなく出荷する・・・
すべては手作り、伝統工芸士のような仕事ですから、その技術を継承し、クオリティーの高さを保ちながら商品化するのは、簡単なことではないでしょう。
人気の動物ボールにもそれぞれ制作担当者がいる |
しかも、ここの素材はほとんど特注でメーカーに作ってもらっているものばかり。ロットも少量だし、メーカーのほうで生産中止にしてしまうケースも少なくありません。
「動物ボールの素材もついに廃番になってしまって・・・」
たぬき、絶滅か!? |
そうなると牛久さん側では、同程度のクオリティーを保つただけの素材を確保しなければならないのです。
80年も、ものによってはそれ以上も販売を続けている商品。たくさんのお客様に支持されてきたものを、いまも変えずに提供すること、これもまた工芸研究所の使命なのでしょう。
「一徹に守る、変えない努力、っていうんですかね」
30代の女子からこんな言葉。でも彼女が言うと説得力がある。
牛久さんは自由学園では陶芸を専攻し、工芸に入ってからは木工作りをしたかったのですが、その部門が廃止になって、玩具担当になったそうです。でもなにしろ手を動かすのが大好きという彼女。平日はうちに帰ってから、「内職」しているそうです。
それが、超ロングセラーの「ボタンはめ時計」
牛久さんが作っているのは限定干支バージョン |
オリジナリティの高い玩具として、2013年度に「グット・トイ」に認定されたものです。
子どもはこのおもちゃで時間を学び、同時にボタン付けを学びます。一石二鳥の知育玩具。ありそうで、ほかでは見たことがない。かわいいので、子どもは上のフックをつかんで持ち歩きながら、時計も読める、パジャマのボタンも自分でできるようになる。子ども部屋の壁飾りとしても素敵です。
賢くな~れ! |
しかし、見れば見るほど、このミシン技はすごいですよ、びっくりしました。私だってカーテンぐらいは縫えますが、この完璧なミシン目には脱帽です。
一見手芸女子風の牛久さんは、実は凄腕のプロなのでした。
めがね姿も肘下カバーも・・・なんか萌え~ |
干支のひつじ以外にも、ねこ、うさぎ、いぬ、ロケットなどいろいろなボタンはめ時計あります↓
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動物ボールもたのしいです↓
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