2014年11月27日木曜日

大人形よ、さようなら―アトリエ訪問記Ⅲ






今朝職場に行ってみたら、大きな人形が二体、玩具部ホームドクターの手術を終えて横たわっていました。お洋服を着せてもらって、元気になった姿を一枚。


18年もたっているとは思えない


これは大人形(おおにんぎょう)といって、ここ研究所で50年以上も前から販売している着せ替え人形です。大人形、というだけあって、身長60センチ。子どもにとっては本当の弟や妹のような大きさかもしれません。


20年近くたってぼろぼろになっていたそうです。実際に販売している大人形はこんな感じ。ショップ店長の小幡結花さんと販売部のリーダー関本祥子さんにそれぞれ抱いてもらいました。



左から小幡さんと関本さん


こんなかわいいお人形ですが、なんと今年度をもって販売を止めるそうです。着せ替え用にオーバーも帽子も手編みのカーディガンもあるのに!


職人が時間をかけて作る予約注文。今はこういう時代じゃないということなのでしょうか。でもあまりに残念すぎる・・・

 ということで例によって、この人形を作っている職人さんの現場を訪ねてみることにしました。


「数年前までは年間10体ぐらいの注文があったのだけどね。今年のクリスマスプレゼントに一つ注文が入っているけど、もう材料の入手も難しいし、止めることにしたの。」


とさみしそうに話すのは、川崎征子さん。研究所に勤めてほぼ半世紀に近いという、ここの生き字引のような人です。(とてもそんなお年には見えないのだけど。指先を使うお仕事で脳が活性化されているのかな。)




手芸が天職の川崎さん


「昔はね、誕生日とか、ひな祭りなんかに合わせて注文があったのだけど、今はおもちゃの定義も変わってきたしね。」


「おもちゃの定義、ってなんですか?」



「かつては、おもちゃは教育のツールだったというか。特にここ研究所のおもちゃは、見た目のかわいさよりも、おもちゃを通して子どもに何を与えられるか、子どもの知性や情操をどう育てるかという視点で作ってきたから。時代遅れなんでしょうか。」


いえいえ、そんなことないと思うけど・・・


「母親がいっしょに子どもとゆったり遊んであげて、そのなかから子どもの特性や個性を観察して伸ばしてあげよう、というようなのんびりした時代じゃないのかな・・・」


と、言うのは隣で例の仔羊を作っている秋元三喜子さん。



たしかに母親が常に家にいて子どもとのんびり遊ぶような時代ではないのかもしれませんね・・・。かつておもちゃは子どもだけが使うものではなくて、親にとっては、それが一つの教育道具だったのでしょう。社会が変わって、おもちゃの需要も変わって、工芸研究所ではこれまでに多くのおもちゃが「リストラ」されています。


その理由は、需要が変わっただけでなく、材料の調達が難しくなったからだと、川崎さんは言います。



「ぬいぐるみはたくさんのパーツを組み合わせて作るから、生地がしっかりしたよいものでなければならないのだけど、それを作ってくれるメーカーがここ二、三年で急に減ってしまったの。しかも一つ一つのパーツが小さいから小ロットでしか注文できないし、わざわざ色を染めてもらったりしていたのだけど、そういう融通の聞く会社がなくなっちゃって。今は何でも大量注文の時代だから。」



なるほど。この大人形の顔と体の生地は、メーカーに特注で染めてもらっているそうです。でももうそういう町工場的な時代じゃないのですね・・・



アトリエ風景


レトロなミシン。使いやすいそうです。
制作者のモットーでしょうか、こんなスローガンが




  
安くても質の悪くないものが簡単に手入る時代になって、それはそれで悪いことじゃないけれど。でも、こういう大人形を買ってもらって、何度も直してもらっていた子どもたちの時代のほうが、豊かに感じるのはなぜだろう。

 

大人形制作中止のお話は、この50年間の、子どもと母親のかかわりや社会の変化を象徴しているような気がします。




クリスマスの食卓についた男の子と女の子。かわいいな~!




2014年11月18日火曜日

チェックチェック!スモックエプロン その2



さて、前回から紹介しているように、この会社では、「スモックエプロン」という商品が人気です。


開発したのは自由学園の卒業生が作った「消費組合研究部」というグループです。このグループの歴史もまた古く、「工芸研究所」の創立メンバーがチェコやドイツに留学して染色やデザインを学んだように、「
消費組合研究部」の創立メンバーもイギリスに留学して、「生活協同組合」の仕組みを学びました。いわゆる「生協」です。その発祥は産業革命の物価高に苦しむイギリスの労働者がお金を出し合い協同で商品を作り、販売・購入する仕組みを作ったことから始まったとか。

ちなみに今年、2014年に「工芸研究所」と「
消費組合研究部」がいっしょになって「生活工芸研究所」となりました。

だんだん話がそれました。スモックエプロンのお話でした。



でも調べると歴史って面白い。二つの研究所の創立より、さらに遡ると、自由学園の創立者が創刊した『婦人之友』の大正2年の号に「家庭用仕事着」というものが紹介されています。どうやら現在の「スモックエプロン」はこのあたりで誕生したようです。「細かい格子柄の地味な木綿製」とのこと。


大正2年って、1913年。第一次世界大戦が始まる前の年だ。っていうか、101年前!? しかも当時からチェック(格子柄)ですか。


とにかく、そうした激動の一世紀を経て、愛されてきたスモックエプロン。平成26年の今も売れています。柄はチェックに花柄に無地に、サイズもSからLLまで、春用、秋用、いろんなバリエーションがあります。




人気の花柄です


担当者の村木知子さんのお話を聞いてみました。


「とにかく暖かい。意外と汚れるヒジ、おなか周りがカバーされるし、すっぽり包まれているから動きやすい。職場ではもちろん、家でも着ています。10着は持っているかな。」

「生地から作っていて、縫製も日本製。綿100%だから着心地がいいし、手入れも楽だし。ひと言で言えば“便利”。一度着たらクセになる着心地よ。」

「幼稚園や介護施設などにお勤めの方には、ユニフォームとしておススメです。」


というわけで、知る人ぞ知るこのスモックエプロンは、圧倒的にリピーターが多いそうです。質のよい綿に「ウルトラリフォーム加工」という技が施され、アイロンがけが簡単で(干し方によってはアイロンも不要)、扱いが楽なのだとか。


仕事中の村木さんが着ているのは定番のタータンチェック


ここまで話を聞いたら、私も俄然ほしくなってきた。なんとなく野暮ったいなと思っていたのですが、たしかに柄も豊富だし、色もいろいろあって、かわいい!エプロン好きとしては試さずに入られない。


というわけで、緑のギンガムチェックとクリスマスカラーっぽい赤と緑のチェックの二枚を買いました。


こんなかんじです。


Lサイズが私。左は明日館喫茶担当Sサイズの菅原宏子さん。彼女は自分のスモックを持っていました!かわいいね。


明日館にいつもセンスのよい花を活けてくれるププラモスの阿田子はづきさん。似合ってる。


男子にも着せてみました。阿田子さんのお花の前に立ってもらったのは明日館のイケメン福田竜くん(ビミョー)


オリジナルの後ろボタンもすてき。


着てみるとたしかにあったかい。薄手だけど全身をすっぽり包むから心地よいのです。この冬、部屋着としても使えそう。おススメです。前開きタイプも人気だそうです。



詳細は↓
http://www.jiyu.jp/shohi/catalog/201409/pdf/02-05.pdf


明日館でセンスのよいお花を見たらププラモスです↓
http://pupuramoss.com/









チェックチェック!スモックエプロン その1




今年はチェックがはやっているそうです。


チェックといっても色々ありますが、生活工芸研究所にも流行のチェック柄商品がありました。


タータンチェック


ちょっと渋めのチェック

明日館になじみそうなチェック


ギンガムチェック



このトレンド柄の商品は実は、ここの超ロングセラー&ベストセラーの一つ・・・




年間売り上げで見ると、この会社の三本の指に入る商品なのです。

チェックだけでこんなにありました!

でも皆さん、スモックエプロンって知っていました?例の小保方さんで人気の出た割烹着の洋風バージョンといったところでしょうか。でも実際ありそうで、意外と他にない商品なのです。


スモック愛用者の声によると・・・


   丈が長くて膝をつく仕事がしやすい

   袖が長いので手元が汚れにくい

   全身を包むので暖かい

   猫や犬を飼っている人には服に毛がつかないので助かる

   そのまま着ていても部屋着のようでお洒落

   水仕事に最適


などなど。なかなかよさそうです。しかも当研究所が扱っているスモックエプロンは割烹着よりずっと体になじむデザイン。


次回はスモックエプロンの魅力にもう少し迫ってみます。


チェック以外にも花柄や無地もありますよ~↓




開運・えんむすび仔羊



先週発売になりました!


開運・えんむすび仔羊


発売と同時に予約入っています。限定100個です。発売50周年と干支が重なる、しかも縁起のよい羊です。


いまのところ、出産お祝いに人気のようです。それと、えんむすびを望まれる女子にも。


あの諸手を挙げたポーズとやさしい瞳がいい感じ。ハッピーなオーラを送ってくれている。









素敵なポスターも出来ました。


ショップのレジの後ろに二枚組みで貼ってみました。


間に立って写真を撮ると、スタジオセットのようで面白いフォトになります。


名づけて、「開運・えんむすびPHOTO TAKING SPOT(写真撮影スポット)」 



販売部の高田さん
明日館の藤岡さん

そして、生活工芸研究所代表永井さん



開運・えんむすびスポットです。ショップにいらした方は、記念に、是非ここで写真を一枚撮ってお帰りくださいね。!!



2014年11月10日月曜日

来年の干支--ヒツジプロジェクト始動!!!



さて、先日ちょこっとご紹介したように、来年の干支ヒツジにちなんだプロジェクトが進行中です。


なにしろ何十年もぬいぐるみを作っているのですから、かわいいヒツジちゃんがいるにはいるのです。その筆頭が例の「仔羊のぬいぐるみ」。来年はなんと発売50周年という超ロングセラーです。

商品画像1


ちなみに東海道新幹線が今年開業50周年だそうです。名古屋も大阪も昔は遠かったのでしょうね。



ほかに今年から来年にかけて発売50周年と言ったら何があるでしょう? ネットで見たらあるあるある・・・


かっぱえびせん

3コ入肉まん
井村屋の肉まん・あんまん


パールエースの上白糖



アース製薬のバスロマン


そのほか―

「ワンカップ大関」

「森永ハイクラウン」

「不二家ピーチネクター」

「キャノンの電卓」


どれもなんだか時代を感じさせるものばかり。ザ・昭和テイストというか。でも今でも第一線で頑張っている商品。大人から子どもまで、主婦からおじさんまで、いろんな人たちに愛されているものばかりですね。


ここの仔羊ちゃんも古くてでも新しい。真っ白な体で一生懸命赤ちゃんを癒してきました。製作する人たちも代替わりしながら、子どもたちのために心を込めて一体一体丁寧に作り続けてきました。


そして、50年を迎えた今、仔羊ちゃんはまた新しい形で皆様の前に登場します。


癒す対象は子どもだけじゃなくて。


あの諸手を挙げた万歳ポーズと優しい瞳が、買ってくださる方の誰もを癒して励ますように。


ヒツジは古代中国ではおめでたい存在なのだそうです。吉祥の「祥」には「羊」の字が入っています。また美の象徴でもあるとか。「美」という文字は「大きな羊」と書きます。


西洋でも古来から飼われてきたのは、やさしくて従順だから。つまりヒツジは性格がいいのです。


おめでたくて、美しくて、やさしくて、誰にでも愛されるヒツジ。


生活工芸研究所の定番仔羊が来年の「開運・えんむすび仔羊」として登場します!


しかも数量限定販売。なにしろ手作りですから。


一家に一匹、来てもらいたいですね。早い者勝ちですよ~。


詳細は、もうちょっとだけ、お待ちくださいね!