2014年8月27日水曜日

仔羊のぬいぐるみ―アトリエ訪問記



生活工芸研究所のアトリエはショップの裏にあります。今日は、そこに仔羊のぬいぐるみの担当者がいらっしゃるということで、取材に行ってみました。


アトリエのなか

研究所の看板商品である仔羊のぬいぐるみですが、実は作製している人は、現在2人しかいません。前回のブログでお話したように、一時、皇室御用達が話題になって生産が追いつかず、仔羊作製専任スタッフを養成したのだそうですが、そのうちのひとり、秋元三喜子さんにお話を伺いました。



「仔羊を作り続けて12~13年になるかしら。2500体は作ってます。ここではいろんななおもちゃがあってどれも手縫いだけれど、ぬいぐるみのような『顔』があるのが得意な人と、ないのが得意な人とだんだんに自分の専門ができるのよ。」


そうです、ここで販売されているおもちゃはどれもひとつひとつ秋元さんのような熟練者が手作りしているのです。スタッフは約10名。このアトリエで作ることもあれば、それぞれが在宅で作ることもあるそうです。


さっそく仔羊の製作過程を見せていただきました。


まずは作業台の上におかれたのは大量の綿。こんなにたくさんの綿でたった3体のぬいぐるみしか出来ません。ふわふわで気持ちのよい綿、この上で寝てしまいたくなります。


ふわふわなのに弾力性のある良質の綿


オーガニック綿で出来たぬいぐるみの袋に綿を詰めてゆきます。この作業に熟練の技がいるのです。一度詰めた綿はもう動かすことは出来ません。慎重に全体のバランスを見ながら、まずは羊の顔の部分から詰めます。


顔の部分だけでもこんなにたくさんの量を入れる

ちなみに綿を詰める顔や胴体の部分の生地を裁断する人と縫う人はまた別の人で、それぞれひとりずつしかいないそうです。すごいですね。


頭と胴体

耳と尻尾の生地を裁断します。ピンセットを使って小さな耳と尻尾をあっという間に作ってしまいます。


耳としっぽを作っています



それから胴体に綿を詰めます。あんな小さな体にこんなに大量の綿が詰まっているから、弾力性があって抱き心地がいいのでしょう。綿が硬くならないように、おなかやお尻の部分は手だけを使ってふっくら仕上げます。



鼻の部分を縫い合わせ、また綿を入れて調整し、目の凹みを作り、口を刺繍糸でつけます。あまりの手際のよさに見ているだけで惚れぼれしてしまう私。まるで伝統工芸士のようです。思わずカメラから映像に切り替え、ずっとそのままビデオをまわし続けてしまいました。


まったく無駄のない手仕事ぶり!


目と口をつけています

「老眼とか大丈夫なんですか」とぶしつけな質問をする私に、「もともと目が悪かったので老眼が入ったらかえってピントが合うようになったのよ」と答える秋元さん。


目を縫い付けます。少したれ目気味がかわいいですね。


「あんまりキュートでニヤニヤしている顔より、ちょっととぼけた顔のほうがいいとおもうのよね~。それに作る人によってぬいぐるみの顔って微妙に変わるのよ。」


「自分の顔に似るそうじゃないですか。」


「そうそう(笑)。」


耳を縫いつけ、頭を胴体につなぎ、尻尾をつけるとできあがり。この間(約一時間)、彼女の作業に全く無駄な動きはありませんでした。さすがにこれまで2500体の仔羊を作ってきただけのことはあります。


片耳付きました



胴体としっかりつなぎ合わせます



出来ましたた!!!(隣はサンプル品)


「あなたも作ってみる?」


「え~いいんですか。やってみます。」


むかしフエルト手芸にハマっていた私、何とかできる気がする・・・


しかし・・・


実際にやってみると、まず顔に綿を詰めるところで難航しました。頭がいびつになってしまうのです。鼻の部分は何とか縫えましたが、口が難しい。ぜんぜんかわいくならない! 何度もやり直させてもらいました。そうこうしているうちに目の凹のところが、だんだん膨らんできてしまいます。


目を縫い付けて、なんとか顔らしくなりました。それから左右に少し跳ねるように耳をつけます。これもまたけっこう大変。跳ね具合が微妙です。


試行錯誤の末、なんとか顔の部分は出来ました。私に似ているかしら?


自分で作ったものはそれなりにかわいく思えるけど

胴体はあまりに時間がかかるので作ってもらうことに。出来上がったら、割引価格で譲ってもらおうとおもいます。とても売り物にはならないし。秋元さんのご親切な指導の下で、とっても楽しい体験ができました。


こんなふうに熟練の手で一つ一つ作られている自由学園生活工芸研究所のぬいぐるみたち。手作りならではの風合いと温かさがあります。ぜひショップに見に来てくださいね!


2014年8月26日火曜日

ぬいぐるみの大切さ



私はヒツジ年です。性格もモタモタしていてどちらかというとヒツジ系。ただし集団行動は苦手です。幼稚園のころからなぜかいじめられていたので、昔からだめなのです。「はぐれヒツジ」というところでしょうか。


はぐれヒツジといつも一緒にいてくれたのは「ロンちゃん」という名の犬のぬいぐるみでした。いつも背中に負ぶっていました。洋服も作ってあげました。ロンちゃんが主人公の絵本もたくさん作りました。


あるとき母が、ぼろぼろのロンちゃんを抱いている私に、新しいぬいぐるみを買ってあげると言いました。私は、「ロンちゃんへの愛情がほかへ行ってしまったら大変だから、いらない」と断りました。ロンちゃんは親戚の人からもらったぬいぐるみです。自分で選んだものではありません。たまたま縁があって手にしたぬいぐるみ、しかしその存在は私にとってとてつもないほど大きいものでした。ロンちゃんは、私を理解してくれる唯一の友だちだったのです。大人になってしまうと理解できないかもしれませんが。


もちろん今でもロンちゃんは健在です。片目はないし、あちこち繕った跡だらけですが。私はきっとひとつのものを愛する大切さをロンちゃんから学ぶことが出来たのだと思います。今も服や食器などを繕いながら長く使い続けていますから。


このように、ひとりの人生におおきな影響を与えるぬいぐるみ。子どもにとって最初の「お友だち」といってもいいでしょう。私の幼少期と違って、今はたくさんの選択肢がある時代です。いったい子どもにどんな「お友だち」を紹介したらいいでしょうか。


そこで今回はヒツジ年の私が、当研究所のロングセラーであり、看板娘でもある「仔羊のぬいぐるみ」を紹介してみたいと思います。


オーガニック仔羊で~す
 
すべすべして気持ちいいキュプラの仔羊で~す



かわいいでしょう、この表情。身長23センチ、小さな子どもが抱くにはちょうどよい大きさと硬さです。素材は肌触りのよいオーガニックコットンと、やわらかくて弾力性のある起毛キュプラの二種類です。どちらも洗えるんですよ。オルゴール入りのものもあります。
http://store.shopping.yahoo.co.jp/jiyu/t-2041.html



実はこの仔羊、皇室御用達でもあるんです(あんまり大きな声では言えませんが)。

『サライ』編集部編「愛子さまのおもちもの』より



一時、皇室の方が仔羊をお持ちになっている映像がテレビで流れたとき、注文が殺到してお客様に一年も待っていただいたことがあるそうです。

それくらい数が作れないのです。なにしろ研究所のスタッフが一つ一つ手作りしているのですから。しかもこの仔羊を作れる専門スタッフは現在二人しかいないそうです。実際どのように作っているのか、興味津々の私は、研究所のアトリエを訪ねてみました。

次回はそのレポートを書きたいと思います。






2014年8月22日金曜日

生活工芸研究所の「全体会議」



「全体会議」と呼ばれる、月に一度の会議に出てみました。研究所各部の売上や活動の報告をする内輪の会議です。重要文化財自由学園明日館の有賀寛館長も社長として出席しています。


毎朝仕事を始める前にラジオ体操をしている会社なのですが、全体会議の前には賛美歌を歌います。母体である自由学園がキリスト教系の学校で、ここの職員はほぼ学園の卒業生なのです。


「その頭にはかむりもなく、その衣にはかざりもなく、まずしく低き木工として、主は若き日を過ぎえたり~♪」 


なんだかシュンとしてきちゃうような歌詞です。まったくこの会社には、商品を売るぞ、というギラギラしたものが感じられず、「いいものを丁寧に作っています」的な人ばかりです(なので私がこうほう支援しているのですが)。

全体会議の様子。手前に機織り機


賛美歌の後は聖書も読んだりするそうですが、今日の担当スタッフさんは8月17日の日経新聞の記事を紹介していました。


「個人消費が持ち直してきた。原因の一つに生活の『質』の向上を求める消費者をうまくつかんだ企業の努力がある。」

 「『上質、ゆっくり、文化』そんなキーワードが成熟社会の消費を掘り起こす。」


たしかに、過去において価格破壊などと呼ばれたダンピングと廉価な商品を求める消費動向によって、良質のものをギリギリの価格で提供していた多くの企業がやってゆけなくなりました。日本の産業を支えてきた会社や商店が倒産してしまったことが、巡りめぐって不況につながった面もあると思います。国際競争力も低下してしまいました。


この会社は地道にやって来たのでなんとか生き残ってはいますが、バラエティに富んだ安い商品が手に入る現在、たとえば質の良さを追求してきた研究所オリジナルのおもちゃなどは、消費者にとって割高に見えるかもしれません。


でもおもちゃって実は値段ではないんですよね。子どもの成長のいちばん大切な時にそばにあるもの、成長を助けるものなのです。ぬいぐるみ一つにしても、どこの国の誰が作ったのかも分からない、素材の安全性も分からないものを与えるより、玩具の子供に与える影響を考えたデザインや色のもの、しかもしっかりした生地で日本の職人さんが日本の子どものために一つ一つ手作りしたぬいぐるみを与える方がきっといいと思うのです。


先日のコルクの積木で遊ぶイベントで、子どもたちは積木だけで90分間集中して遊んでいました。単純なおもちゃの方が子どもの創造性は発揮されるようです。たくさんのおもちゃがあるとかえって気が散るのかもしれません。


良質なおもちゃを選んで子どもに与える――それは子どもの創造性や情緒の安定など様々に影響してくると思います。研究所には自由学園の幼児研究のなかから生まれたたくさんのロングセラー玩具があります。


「長い不況時代を経て費用対効果を見極める意識は鋭くなったが、所得増の期待が膨らみ、消費者は安さ以外の価値、『質』に目を向け始めた。」

消費者の賢い選択が日本の産業を支える時代が来たといえるかもしれません。このような機会に、研究所が作っている日本製のよい商品をもっと多くの方に知っていただきたいな、と思った全体会議でした。




2014年8月19日火曜日

ハーゲンダッツVS那須農場のアイス





今日も暑いですね~。暑い夏といえばやっぱりアイスですよね!


じつは、生活工芸研究所には隠れた名品アイスがあるのです。なぜここでアイスを売っているかというと、母体となっている自由学園が栃木県の那須に農場と牧場を持っているからです。そこで放牧されている牛の乳は普段学生が食堂や寮で飲んでいるのですが、農場はその残りの牛乳でアイスを作って、JMショップにて販売しています。つまりここだけで食べられる超限定アイスなのです。


私はこのアイスをはじめて食べたときから、そのおいしさに感動してしました。なんというか、他で食べたことのない味なのです。そこでこのたびブログで紹介しようと思ったのですが、ひとりよがりになってはいけないので、かのハーゲンダッツと比較してみました。


JMショップのアイスはミルク味なので、ハーゲンダッツのミルク味と比べたかったのですが、コンビニやスーパーを何軒か回っても見つからなかったので、定番のバニラ味との食べ比べです。


まず那須農場のアイスです。パッケージには「放牧牛のミルクアイス」とあります(それにしても地味なパッケージ)。アイスクリームではなくてアイスミルクです。乳脂肪分は6%。それに比べてハーゲンダッツは15%、倍以上あります。



誰もが大好きなハーゲンダッツと比べました

一口目にまずミルクのまろやかな味が口中に広がる感じ。とにかくすごいミルク感!昔行ったことのある広大な那須農場でのんびり暮らしていた牛の姿が浮かんできます。さっぱりしている、なのにとってもコクがある。ここが最大の売りです。後味がさわやかです。


さてハーゲンダッツです。うわ、すごい濃い!さっぱりというよりドロリとしています。あちらがオーデコロンとしたらちらは香水。たいへん濃厚、ザ・アイスクリームという感じ。


スタッフ何人かにも試してもらいました。ハーゲンダッツを先に食べてしまうと那須農場アイスのさっぱり感は負けてしまうようです。


「容量は大きいけど(120ml)、大きくても一人で食べられちゃう。ハーゲンダッツのほうはどうしてもコーヒーを入れたくなる」とのこと。


それから「冬にコタツで食べるならハーゲンダッツ、夏に食べるなら那須農場アイス」という納得の感想もありました。


ところでこのアイスは男性にとても人気があるのです。先日、研究所のロングセラーのエプロンを取材してくださったライターの服部夏生さんは、以前那須農場を訪れる機会があり、そこでこのアイスを食べたのだそうです。それがとってもおいしかったとおっしゃるので、取材の日に再び食べていただきました。


「ハーゲンダッツとは対極にあるというか、口溶けがよくて甘さひかえめ。ミルクのおいしさをギュっと封じ込めたような、ほかでは食べられない味です。」


――とコメントしてくださいました。服部さんの記事(東京新聞山手版)↓
https://www.facebook.com/236636439872686/photos/a.237211596481837.1073741828.236636439872686/262775470592116/?type=1&theater

最後に、ショップにいらしたご婦人ふたりに、アイス大好きということなので、コメントいただきました。ハーゲンダッツとは比較なしでの、純粋な感想です。

「濃厚なミルクの味ね、でもあんまり甘くない。香りがいいわね~。さらっとしていて大人のアイスって感じ。」

「すっごくおいしい!上品であっさりしていて、これまで食べたことのない自然な味だわ~。」





JMショップでしか食べられない限定品です。低カロリーなのにコクがある。一度食べたらはまります。ぜひお試しください!

 

2014年8月16日土曜日

コルクの積木で遊んでみました!―イベント報告






今日はコルクの積木で遊ぶイベントがあったので、私もお手伝いに行きました。天気はあまりよくなかったのですが、午前の部、午後の部と開催され、1歳に満たない赤ちゃんから7歳のお姉さん、お兄さん、そして彼らのお父さん、お母さんまでたくさんの方々が参加してくださいました。(写真は保護者の了解を得て掲載しています。)


にぎわっていますよ~

   

けっこう高度な技に見えます


車に乗ってま~す


これはかなり複雑な構造ですね!





まずは生活工芸研究所代表永井明子さんの歓迎のあいさつと、おもちゃコンサルタント澤久美子さんによるコルク積み木の説明がありました。初めてのイベントだったので、盛り上がるのかなと心配でしたが、雰囲気に慣れてくると、みんなはじめから友だちだったかのように和気あいあい。自分の好き勝手に何か作るのかと思いきや、みんなで協力して大きな作品を作ったりもしていました。子どもって意外と協調性があるのですね~、びっくり!



私は積木で遊んだ経験があまりなかったのと、自分に子どもがいないので、あんな色も形も単純な積木を使って、子どもたちがどうやって遊ぶのか想像がつかなかったのですが、単純だからこそ、想像力や創造力を欠き立てられるというか、積木ってなんでも作れるものなんですね。とくにコルクの積木は軽くて滑らないので、無限の可能性があるようです。



ある子どもは先日スカイツリーを見てきたからと、高いタワーらしきものを作っていました。別の子は列車が大好きといって、貨物列車を作っていました。シンプルな家を作る子もいれば、城壁のような建物を作る子、動物を作って乗る子、ドミノ倒しをする子、寝転がって体に乗せてみる子、もうなんでもありです。積んだら必ずそこに自分が乗っては崩すのを繰り返している子がいましたが、きっと将来はりっぱな改革者になることでしょう。



――というように、年齢や性別やその子の個性によって、積木ってどんなスタイルでも遊べるのですね。積木といっても、積むだけでなく、転がしたり、崩したり、叩いた・・・子どもの新鮮な発想には驚きっぱなしでした。また、お父さんやお母さんがそばにいて安心していたのか、90分間ほとんど誰も飽きずに遊び続けていた集中力には感心しました。むしろ遊び足りないぐらいだったかも。



こんなにしてもコルクなら崩れません


丸い積木は転がしても楽しいね


階段を作ってみました



お父さんやお母さんの感想としては――

「コルクは素材がやさしく、小さい子どもでも遊びやすい」


「普通の積木と違い、パーツが大きいので実際に乗れたり、自分の背丈くらいのものが作れるのが楽しい」


「みんなで一緒に何かを作るということがなかなかないので、とても楽しい経験になりました」


「積木は想像力豊かになるおもちゃだと思いました」


「コルクの積木のよさが良くわかった」


「普通の積木と違って大きい丸があるのも遊びが広がるのだと思った」



「大型サイズがイベントならではで良かったです」



「1歳のお子さんが小さいコルクで楽しそうに遊んでいるのを見て、孫にもプレゼントしたくなりました」


「たくさんの積木でダイナミックに遊ぶことができてよかった」


「スタッフの方が名前を呼びながら付き添って対応していただいたので、人見知りの娘も楽しく参加できました」


「斜めにも積めるのは大変面白いと感じました。木の積木より様々な形の作成、遊びができることも新しい発見でした」


「崩壊しても木の積木より音が出にくいのが魅力ですね」



また、

「パーツ購入ができれば少しずつ増えていく楽しみができて、家計にもやさしいと思う」というご意見もありました。



好評だった今回のイベント、今後もまた開催するようです。コルクの積木に興味ある方はぜひご参加ください。

最後はみんなで電車を作りました


あ~楽しかったね!自分の作品の前で




6ピースのトライアルセットの販売も始めました!



2014年8月7日木曜日

グッド・トイ&キッズデザインW受賞―コルクの積み木であそぼう!



前回のブログで紹介しました「コルクの積木」。これは生活工芸研究所の看板商品です。なんたって創案1931年ですから。83年も作り続けています。これが2014年度の「グッド・トイ」に選定されました。「コロコロ木の実」も同時認定!!!


ロングセラーのコルクの積木

すてきな音がするコロコロ木の実


「グッド・トイ」とは、NPO法人日本グッド・トイ委員会の選考会によって選ばれます。グッド・トイ委員会とは、市場にあふれるおもちゃの中から優良な商品を選んで普及させ、おもちゃの専門家を育成することを目的に1985年に設立された組織で、先日訪問した東京おもちゃ美術館もここが経営しています。


おもちゃの専門家、別名「おもちゃコンサルタント」という資格を与えられた人たちは、全国で5000名ほどいるとのこと。赤ちゃんの発達とおもちゃの関わり方、お年寄りのリハビリおもちゃまで、世界各国のおもちゃ文化考察から、遊びを広げる実践術まで「幅広い視点」でおもちゃを捉えることのできるおもちゃのプロです。ワインの世界で言うソムリエのようなものでしょうか。(当研究所の澤久美子さんもおもちゃコンサルタントです!)


「グッド・トイ」に選ばれるのは簡単なことではありません。毎年各メーカーが自信作を応募するところから始まり、グッド・トイ委員会が一定基準を満たしたものを選定。そこでふるいにかけられたおもちゃを、全国のおもちゃコンサルタントが選び、その後おもちゃ美術館の一般来館者の投票を得て、最終選考。実に多くの人間と半年以上もの期間をかけて選ばれる、文字通り、「GOOD TOY」なわけです。


「コルクの積木」は初めての応募でしたが、実を言えば、当研究所ではこれまで6点のおもちゃがグッド・トイ認定を受けています!!! こちらをクリックしてみてください。



さらに!この度「コルクの積み木」は、第8回キッズデザイン賞にも選ばれてしまいました。これもまた業界ではかなり権威のある賞なのですが(主催:特定非営利法人キッズデザイン協議会、後援:経済産業省)、簡単に言うと、キッズデザイン賞とは、「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」「子どもたちを産み育てやすいデザイン」を表彰するもので、子ども向けの製品・サービスに限らず、子ども目線を持った商品やプログラム、調査研究活動などが対象となる――とのことです。


というわけで、このたびの「グッド・トイ」&「キッズデザイン賞」W受賞を記念して、8月16日(日)にイベントを開催します。実際にたくさんの「コルク積み木」を使って遊べるチャンスです。もちろん、おもちゃコンサルタントの澤さんも参加しますよ~!


場所は生活工芸研究所のある自由学園明日館。ご存知ですか?あのフランク・ロイド・ライトが大正時代に設計した重要文化財の建物です。お子さんだけでなく、お父さんやお母さんも楽しめること必須です。まだ定員に少しだけ空きがあるそうです。興味のある方はお早めにお申し込みください。参加者にはこの機会にしか手に入らないプレミアムプレゼントや商品もあるそうですよ~。

8/16の「コルクの積み木」イベントについて https://ssl.canonet.ne.jp/ssl/jiyu.jp/kougei04/



2014年グッド・トイについて http://www13.plala.or.jp/goodtoy/awards/home.htm


8回キッズデザイン賞について http://www.kidsdesignaward.jp/2014/index.html




グッド・トイ認定のマーク

キッズデザイン賞受賞のマーク

ちなみに1985、1996年にはこんな賞も受賞してます! 


東京おもちゃ美術館へ行ってきました!



皆さん「ピンポンパン」を知っていますか。昔の子供向けのテレビ番組です。内容はほとんど覚えていないのですが、番組の最後にゲスト出演の子どもたちが大きな樹のセットへ戻っていくシーンが印象的でした。樹の中におもちゃが隠されていて、子どもたちは自分の好きなものをもらって帰るのですが、それがもう、うらやましくて、うらやましくて・・・いつかあの番組に出ることが出来たらどのおもちゃをもらおうか、と妄想を膨らませていた少女でした。



そんな少女がもし東京おもちゃ美術館に行ったとしたら、きっとうれしくて頭がおかしくなってしまったことでしょう!ここはホントにすごいです、元小学校校舎という大きな空間に世界中のおもちゃが揃っている。しかもそのおもちゃは、選び抜かれた良質のものばかり!!



おもちゃ美術館は30年前におもちゃコレクターの多田千尋さんによって設立されました。ロシアなど海外に滞在された多田さんは、西洋の質の高いおもちゃが幼児教育に大変役立っていること知り、日本の子どもにもよいおもちゃを紹介したいと思ったのだそうです。ここでは、その良質なおもちゃを見るだけではなくて、実際に使って遊べるようになっています。



子どもにとっては天国ですよね(たぶんお父さんやお母さんにとっても)、涼しくて広くて楽しくて。当然ながらこの美術館はいつでも大入り満員で、なんと先日は平日なのに千人近い来館者があったそうです。


なにしろ元小学校の建物ですから元教室の部屋がたくさんあり、部屋ごとにいろんなおもちゃを楽しめるようになっているのですが、とくに気に入ったのは「赤ちゃん木育ひろば」と呼ばれる部屋。「食育」ならぬ「木育」です。案内してくれた山田心さんによると(ちなみに彼は「ピンポンパン」を知らない世代でした)、ゼロ歳から二歳ぐらいの幼児は物の重さや香りに敏感になる時期だそうで、そのころに木の心地よさに触れて親しんで欲しいという目的で作ったひろばです。全国各地の木で作られた床や椅子に座って、子どもたちはさまざまな木のおもちゃで遊ぶことが出来ます。



その部屋には、生活工芸研究所のコルクの積木も置いてありました。もう何年も、しかも地方の巡回美術館でも使われて戻ってきたというセットでしたが、どこも壊れていませんでした(ちょっとかじられた跡が)。「こんなに長持ちするコルクの積木ってめったにないですよ!」とは、木育ひろばディレクターの石井今日子さん。「そういえば先日、ボランティアの50代の女性が子どものときに使っていたのと同じだと懐かしがっていましたけど、ロングセラーですよね」「はい、もう80年も作ってます。」「え~こんなに長い間売れている商品はほかにないですよ!」



そうなんです、生活工芸研究所のコルクの積木の歴史は長いんです。このたびおもちゃ美術館より「グット・トイ」に選定されました!それについてはまたレポートします。


閉館時間で子どもたちが帰ってしまったのをいいことに、その後はレポートも忘れ、すっかりピンポンパン少女に戻って遊んでいた私でした。




軽くて持ちやすくて安全なミ「ニコルクの積み木」


おなじく「木育ひろば」にあった研究所の「豆人形」
顔がかわいいと赤ちゃんに人気だそうです

「おうちごっこ」も生活工芸研究所の商品です

大人も楽しめる全国の「郷土玩具展」開催中!
充実してます。9月25日まで

東京おもちゃ美術館

〒160-0044
東京都新宿区四谷4-20四谷ひろば内
東京メトロ丸の内線「四谷三丁目駅」2番出口より
http://www.goodtoy.org/ttm