2015年1月6日火曜日

地味だけど堅実、それでいい。



明けましておめでとうございます。


地味なブログですが、統計によると、一日10人前後、ひと月に200人以上の方が読んでくださっているみたいです。ほんとうにありがとうございます。

タイトルからお分かりのように、私は、この老舗ブランドの、アトリエに行っては、そこで制作される製品そのもの、あるいはそれらを作る人たち、売る人たちを見てきました。

実際、実に地味です。その昔、日本にたくさんのおもちゃメーカーが今のようになかった時代、街のおもちゃ屋やデパートのおもちゃ売り場にはない、「良質なおもちゃがほしい」と思った人は皆、目白の古い校舎のなかで作られていたここのおもちゃを買いに来たのでした。

販売80年を超える超ロングセラーの動物ボール

宣伝も広報もいらなかったのです。知る人ぞ知る、子どもの知育とか情操とか、そういう子どもの教育に関心のある人は、ここのおもちゃを買っていれば大丈夫だと思っていたのです。そういう顧客に支えられ、それだけのプライドと自信を持っておもちゃを作ってきました。

そうした顧客の中には皇室の方々も多く、とりわけ美智子皇后様は今でもおもちゃをご注文下さるそうです。昔のことになりますが、サーヤこと紀宮様(今は黒田清子様)が学習院の初等科をご卒業されるとき、お母さまの美智子様は、クラスメート全員に研究所の仔羊のぬいぐるみをお配りになられたのだそうです。

ほんとうは、内部からはこういうこともあまり語ってはいけないとされているのですが、ここの商品の質の良さをご紹介したくて書いてしまいました。こんなエピソードはいくつもあります。


看板商品、仔羊のぬいぐるみ



しかし今は、海外からもいろんなおもちゃが入ってくる時代。いいおもちゃを作っているだけではやっていけない時代ですよね。最近、伊勢丹のおもちゃ売り場がリニューアルされたので行ってみましたが、スイスやドイツなどから来たものをはじめ、いろいろな種類のおもちゃが美しく並んでいました。

店員のお話によると、スイスやドイツのおもちゃは、それらの国より日本でのほうが売れているそうです。つまり日本には「良質のおもちゃ」を求める人が結構多いのかもしれません。

90年近くもおもちゃを作り続けている工芸研究所の商品は、伊勢丹にはありません。伊勢丹どころか、他のデパートにもお店にもほとんどおいていません。

それは、研究所の商品が他社に卸せる価格でないから。

つまり、中間業者のマージンを取られたら、儲けがまったくないからです。

ここの商品は、最高級の素材で、熟練の人たちが、ひとつひとつ手作りしている。

「学園積木」で三代の家族が遊んでいます

つまり、素材は国内の長くお付き合いしている業者から仕入れ、自由学園の卒業生の人たちが何十年にもわたって技術を継承しながら作り続けているのです。

いいものを作りたい、そのプライドと職人魂だけで生み出されている・・・

そこには儲けたいという気持ちがない。なので、商品になったときの価格は本当にギリギリのところに設定されているというわけです。

素材の調達から、デザイン、制作から検品、販売まで、すべてが重要文化財自由学園明日館内のアトリエで一元的に行われているのです。

おもちゃだけでなく、バッグやエプロンも同じ。研究所のデザイナーが国内の信頼できる、希少な機職人にお願いして生地を織ってもらい、それを商品に仕立てている。

豊富な縞柄のエプロン
定番の大判トートバッグ


こんな会社はいまどきめったにないでしょう、地味だけど、だからこそ信頼されてきたのでしょう。これからも、その信頼を裏切らないものを作っていく・・・これがこの研究所の使命なのでしょう。

私自身、身銭を切っていろんな商品を買ってみたけれど、どれ一つとして信頼を裏切るものはなかった。エプロンにしても何度洗濯してもしっかりしているし、さすがにどれもロングセラーだけのものだと思う。

今一番お気に入りのスモックエプロン。生地がいいのでアイロンもいらない!


地味だけど堅実。

この価値観が今の世の中にどのくらい通用するのかわからないけど、どう見ても、この会社にそれ以外の売りもあるとは思えない。でも一番たいせつなのはそこだと思う。

ということで、今年も地味にこの研究所のことをお伝えしていきたいと思います。よろしくお願いいたします!!!



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