2015年3月6日金曜日

バッグのホームドクター



だいぶ前に「ぬいぐるみのホームドクター」というブログを書きました。生活工芸研究所では、ときどき、お客様から、うちのぬいぐるみを治してください、という駆け込みがあります。先日も「オルゴールねむり人形」の入院がありました。

こうしたお話があるたびに、新しいのを買ってはいかがかしら、とおもってしまいますが、当の子どもにしてみれば、その人形じゃなくちゃダメなのです。それじゃないと、そして、それがないと眠れないというわけです。

たとえどんなにボロボロでも。いえ、ボロボロにしたのは自分なのですから、そのぬいぐるみは言ってみればもう自分の分身、とっても愛おしい存在なのです。


オルゴールねむり人形は出産祝いに人気(これは新品)


使い込んで味が出てくるという点においては、ぬいぐるみだけではありません。研究所では玩具部と織物部がありますが、織物部では生地を糸から染めて国内の機屋さんにとても丈夫で高級な生地を織ってもらい、それを製品化しています。

毎年新色を発表していますが、なにしろこの生地も1930年の初頭に創業者がヨーロッパの美術留学中に南仏で出会った生地をヒントに開発されたものですから、なが~~~~い歴史があるのです。

ドイツのデザイン学校イッテン・シューレで学んだ創業者が、イッテン氏の有名な色彩学をベースに作った「プラネテ」という縞模様。前にも紹介しましたが、当時日本にはあんなに鮮やかな生地はなかったんじゃないかと思います。

現在に至るまで、イッテンの色彩学を受け継いだ研究所代々のデザイナーさんが、毎年新しいデザインの縞模様を出してきているので、分厚い「縞帖」があります。その筋の人が見ると美術館入りクラスの貴重さだそうです。

縞帖にある歴代の縞模様を見ていると、どれも鮮やかでありながら日本人に似合うテイストになっていますが、やっぱりその時代なりの配色というかパターンがあって面白いです。


さて、このプラネテはいつごろの作品なのでしょうか。使い込まれてかなり味が出ています。細い縞がレトロで私好み!





実はこれはバッグなのです。この商品を買ってくださったお客様が長年大切に使われて味が出てきて、いよいよ気に入ってくださっているようですが、持ち手が切れてしまったのです。それを修理して欲しいとのご依頼でした。

織物部リーダーの本橋安希子さんが、写真のように持ち手を付け替えたのでした。さながら彼女は「バッグのホームドクター」というわけですね。



すてきなバッグに蘇りました!



ここでニュースです!

来週の水曜日3月11日から17日までの一週間、池袋西武デパートで、このプラネテの生地を販売するイベントがあります。直営店では販売していない生地をセール価格でご提供。

くわしくは、次のブログをご覧ください!!!






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